チーム医療の中心として働く
ターミナルケアではもう余命いくばくもないと想定される患者の相手をしていくことになります。こういったときのチーム医療では特に看護師の能力が重要視されることになり、医師や薬剤師からの大きな期待を受けることになるのが一般的です。ターミナルケアにおいては病気を治すということが既に難しい状況にあるということがわかっているため、その治療を行うよりも、患者に残された期間を患者にとってより良い日々にするということが重要視されることになるからです。クオリティ・オブ・ライフを向上させるということが現場の医療における理念であり、そのためには医学や薬学の知識から考えられる客観的な考え方よりも、患者がどのように感じているかという主観を優先することが不可欠になります。患者にとって最も身近な医療従事者である看護師が唯一本音を伝えられる相手であることが多いのが実情です。そのため、治療を行っているときには中心となっていた医師も、ターミナルケアにおいては一歩退き、看護師を中心としたチーム医療が実現されるようになる傾向があります。患者にとってどういう選択肢があるのかというのを医学的側面から提示できるのは医師ですが、本当に患者が必要としていることを聞き出すことができるのは看護師です。理想的な医療を実現するためには患者の希望に基づいて医療を選択する必要があるため、こういった現場では看護師の果たす役割が医療のスタートになっています。